研究概要 |
八丈方言は東京都内では唯一無型アクセントの方言として知られている。また、東部方言の中でも東国方言(奈良時代)の名残をのこす古い方言としても有名である。 平成5年度の調査研究 1.調査項目の選定.共通化の程度を知るための調査項目をえらんだ。(1)アクセント体系をあきらかにする類別語〓(2)東京語でゆれのある項目(3)活用語と活用形のアクセント.イントネーションを知るための文例(4)共通語化の要因を探る意識項目 2.調査。調査は研究協力者の協力を得て実施した。地点は八丈方言区画上、対立を示す坂上地区と坂下地区。小・中学校(生え抜き)を対象に、アクセントと型知覚を調査した。音声はDAT(デジタル・オーディオ・テープレコーダー)で録音した。 3.八丈方言と比較するため、八丈方言と同様,本土方言と大きく異なる島の方言で無型アクセントの大神島方言(琉球宮古島方言に属す)の調査を行なった。 4.新らたに得られた知見 (1)八丈方言の若年層はアクセントの型を獲得しつつある。 (2)共通語アクセントの習得の程度は、高校生>中学生>小学生である。 (3)東京語との接触が大きくなるにつれ、共通語化の程度も増大する。 (4)単語レベルよりも文のイントネーションの方が共通語化の程度にバラつきがみられる (5)共通語化の要因には、次の事象との連関が強いようである。 a)1日5便の直行便(東京〓八丈)、b)小・中学校の教員が有型アクセント、c)八丈島以外の住民の増加
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