研究課題/領域番号 |
05610372
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
斎藤 茂 大阪市立大学, 文学部, 助教授 (30134430)
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研究分担者 |
神鷹 徳治 帝塚山学院大学, 文学部, 専任講師 (00233940)
村田 正博 大阪市立大学, 文学部, 助教授 (60140464)
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キーワード | 『全唐詩』改編 / 日本残存唐詩資料 / 「趙志集」 / 「唐人送別詩」 / 「佚名唐詩集残巻」 |
研究概要 |
本研究は、南京大学の『全唐詩』改編作業に呼応して、日本の残存する唐詩資料の研究、整理を志すものである。その中核とする「趙志集」の翻字・注釈作業は、ほぼ当初の予定通りに進み、翻字作業はすでに終え、注釈作業も全体の七割程度を為し終えた。そしてその成果を、訳注という形で、天理図書館発行の研究誌「ビブリア」誌上に順次掲載することを許され、すでにその上篇を公にした。引き続き中篇、下篇と分けて公表する予定である。また、この過程で、「趙志集」の編纂時期や、作者及び構成の問題等について、従来の説を補強する点や、新たに加えうる点を見い出すことができた。これらの成果は、南京大学にも報告し『全唐詩』改編作業の一助とした。さらに、「佚名唐詩集残巻」及び「唐人送別詩」についても、内容の検討を行い、『全唐詩』並びに『全唐詩補編』に収録されていない作品を確認するとともに、その読解作業を始めている。これらの書物についても、新たに得られた知見を随時南京大学側に伝え、改編作業に生かしてもらっている。 資料の閲覧及び収集の面では、『白氏文集』の抄写本を主として閲覧するとともに、初唐の李〓の「百二十詠」の旧抄本に注意し、その写真を入手して今後の検討の資料にすることに心がけた。佚存書の研究が一段落した後には、これらの旧抄本についてのより詳細な検討を行う予定であり、今後も資料収集に努めたい。なお、「唐人送別詩」は国宝に指定されているためか、その閲覧を再三にわたって申請したにもかかわらず、所蔵する圓城寺からの回答が無かった。その内容については、圓珍上人の研究書によって伺うことが可能だが、抄写本であるために翻字については研究書の間でも異説が有り、やはり実見して確認したいと思っている。今後もさらに閲覧申請を続けるつもりである。
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