研究計画に従って英語の二次述語構文、特に主として他動詞・自動詞結果構文について研究した。公刊予定の論文は、“English Resultative Constructions and Wh-movement"(平成6年3月)と「長距離wh移動と連鎖の同質性」(平成6年3月)である。前者では、結果構文の動詞後名詞句と二次述語形容詞に関する短・長距離wh移動の可能性が綿密に調査され次の提案がなされている。他動詞結果構文には1、自動詞結果構文には2の構造が与えられる。 1...[_<vp>[_<v'>V NP AP]] 2...[_<vp>[_<v'>[_<v1'>[_<V2'>V[_<AP>t_i]]NP]AP_i]] wh移動特性は、これらの構造に基づいて、c統御に拠るstrict governmentとm統御に拠るloose governmentを導入したL統率(ECP)によって説明される。 後者は、前者では完全には説明しきれていなかった二次述語構文の述部(及びその他の構文)の長距離wh移動の特性が、極小主義理論の枠組みに於ける連鎖の(非)同質性と合法的LF構成物の理論によって説明されるということを示している。ここでは結果構文に対して概略3のような構造を与えている。 3...[_<vp>NP[_<v'>V_j[_<vp>NP_k[_<v'>[_vt_j][_<Agrp>t^1_k[_<Agr'>Agr_A[_<AP>[_<NP>t^2_k][_<A'>A]]]]]]]] 今後の課題としては、所謂GB理論から極小主義理論への過渡期の文脈に於いて本研究をどのように展開していくかという問題が挙げられよう。
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