当研究では、ステファヌ・マラルメ諸作品の批評版をハイパーテキスト形式で作成するために、前年度までに、(1)DOS版で完成しているマラルメ諸作品のテキスト・データベースをマッキントッシュに読み込むこと、(2)マッキントッシュ上のテキスト・データベースをハイパーカードに読み込むこと、(3)ハイパーカード上で批評版を展開するためのフォーマットとプログラムのアウトラインを定めること、の三点をおえている。今年度はそれにひきつづき、(1)ハイパーカードによる批評版のフォーマットを確定し、それを操作するためのハイパート-ク言語によるプログラムを完成させた、(2)批評版の実際の構築作業-テクストの校訂と、校訂結果のハイパーカードへの書き込み--をすすめ、マラルメの散文作品の一部については、その作業をおえることができた、(3)したがって、少なくともマラルメ作品の一部については、「コンピュータ上で動作するハイパーテキスト形式の批評版」と呼べるものを完成させることができた、(4)これから年度末にかけて、以上で蓄積した方法論を報告書にまとめるとともに、1995年5月に開催される予定の「マラルメ研究会」第3回例会において、完成した批評版を一般に公開し、そのデモンストレーションをおこなう予定である。また、今後の課題としては、ここで完成した批評版をモデルにして、マラルメのできるだけ多くの作品について、同様の批評版を作成することがあげられる。
|