1.研究代表者は、昭和58年パソコンを利用した最初の言語地理学的データ処理システムSEALを開発、平成3年には機器の進歩に対応するためにシステムを改良してSEAL第2版を発表、その後も改良を進めた。本研究においては、バッチファイルをつくる、データファイルをエディタ-で読める形(CSV形式のテキストファイル)にするなど大幅な改定を進めた。この結果、Version4.3では、BASICを知らなくてもSEALを動かすことが可能となり、すでにテキストファイルとして入力済みのデータなどもSEALで分析することが可能になった。 SEALシステムにより、正確な言語地図を簡単に速く作成することができる。また、各地点ごとに指定した語形の頻度を数えることにより複数の地図の分析を行うことができる。いずれの作業も、分析・再分析ともさらに容易に行うことができるようになった。地図化や集計時に各項目の語形一覧やハンコ一覧などを画面に表示するようにしたり、地図化のときの語形とはんこの指定や集計の方法の指定をファイル化したりしたからである。以上の研究成果報告書として、SEAL Version4.3のユーザーズマニュアルを作成、印刷した(福嶋他:1995)。 2.SEAL Version4.3を用いて奄美徳之島の方言調査データの分析を行った。方言データの入力を行い、項目別の地図化を行った。さらに、複数の地図について集計を行い分析を行った。特に、親族名称データの分析・地図化を行い、論文にまとめた(福嶋:1995発表予定)。他のデータについても順次まとめてゆく予定である。
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