行政機関相互間の関係に関する現状の規範の存否及び内容の検討をすすめる上で、今回、関西6府県(滋賀県、京都府、奈良県、大阪府、和歌山県、兵庫県)の本庁行政機関相互間の規律を対象とすることにして、アンケート調査を行い、補助機関たる機関相互間の相互関係をみようとした。このアンケートの分析は、未だ全面的に終了したとはいえない状況ではあるが、こうした行政機関相互間に於いては、協力協同はむしろ当然であって、日常的に、例えば「課長会議」といった公的会議を通して、相互間の情報の流通などがすすめられていることなどが、確認されてきている。調査中には担当職員から、むしろ調査の意味について疑義が出されてくるという現状があったが、一方で、こうした行政機関相互間の在り方論に生ずる多くの問題点、特に、法律等による考慮事項の変動や権限の変化、他方で、必要な情報の流通の変動や不十分さについては、近時の兵庫県南部地震事件でも露呈したが、なお、検討されていない。こうした問題点は、協力しやすいこうした補助機関相互間の問題を素材に、より困難な問題を包含している行政機関相互間の関係の分析に結びつける予定であったが、できなかった。 また、同時に、諸外国における行政機関相互間の関係について、分析を行う予定であった。実際には、ドイツの実定法制度及び論文等が検討素材の中心になった。特に、連邦行政手続法に規定された職務共助(Amtshilfe)の検討、情報を媒介とする職務共助の問題点、権限の異なる行政機関相互間の協力について、検討が及んだ。
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