研究課題/領域番号 |
05620020
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
公法学
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
大須賀 明 早稲田大学, 法学部, 教授 (80063593)
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研究分担者 |
西原 博史 早稲田大学, 社会科学部, 助教授 (10218183)
今関 源成 早稲田大学, 法学部, 教授 (90147942)
後藤 光男 早稲田大学, 社会科学部, 教授 (70170470)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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キーワード | 社会国家 / 福祉国家 / 基本的人権 / 立憲主義 / 民主主義 |
研究概要 |
本研究は、現代国家を「社会国家」という視点から見つめなおし、社会政策の次元と個人の自由に対する保護の次元の両者を総合する形で、国家が重層的に人間の自由と人間性を実現するために行う社会国家の積極的関与を研究対象としてきた。その際、本研究の目的は、こうした国家の関与が憲法上必要な場合、許される場合、許されない場合を識別する基準を現実に展開される国家関与の実務との関係において析出することに置かれてきた。 社会国家という現象は、憲法の観点からみたときには、二面性を有している。一方において給付行政などにより市民生活に便益を提供したり、また弱者を救済して社会的正義を実現することにより国民に利益をもたらすプラスの指向性をもつと同時に、他方において給付行政は、国家権力とりわけ行政権に多大の権限を集中することにより、強大ならしめ、給付行政に対する国民の依存性を支配の手段として、その権力により国民の自由を侵害する危険性が大きく存在するという、マイナスの指向性をもつものである。したがってプラスの指向性を認識したり利用したりするさいにも、たえずマイナスの指向性を自覚し注意する必要があるのであり、そのためには社会国家に対し、たえず自由と民主主義の原理を対置しつづける必要があると言えよう。 特に、行政活動が独善に陥ることを回避するために、それに対する民主的統制のあり方を常に模索すべきである。また、社会国家が少数者の利益を犠牲にした多数者による利益独占に陥る危険を認識した場合、民主的統制に加えて、自由の論理に基づく立憲主義的統制の必要が一層強まる。
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