研究課題/領域番号 |
05620022
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
位田 隆一 京都大学, 法学部, 教授 (40127543)
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研究分担者 |
酒井 啓亘 神戸大学, 大学院・国際協力研究科, 助教授 (80252807)
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キーワード | 国際連合 / 集団安全保障 / 平和維持活動(PKO) / 安全保障理事会 / 強制措置 / 平和に対する脅威 / 自衛原則 / 人道的救援活動 |
研究概要 |
本年度の研究は、一方で位田、酒井両名がこれまで行ってきた個別の研究を続けると共に、京都大学大学院学生等と共に、国連の平和維持機能についての研究会を組織して、できるだけ多角的に検討しようと試みた。 位田は、昨年度からの国際刑事裁判所の検討を続けると共に、集団安全保障の理論枠組と国連憲章第7章の文言との擦り合わせと解釈の再検討を手掛けている。とくに、最近の憲章第7章の適用の特徴は、39条による「平和に対する脅威」の対象の多様化(内戦、難民の発生、非民主的政権、テロ支援等)、41条による非軍事的制裁の内容の拡大(「あらゆる必要な措置」、国境画定、犯罪人の裁判・処罰等)、42条の変容(国連自身による軍事制裁の不可能、軍事制裁の「許可authorization」、多国籍軍の利用等)、平和維持活動(Peace-keeping)との混在、などが挙げられる。このように、憲章起草者の考えていた集団安全保障体制に基づく条文の再解釈の可能性を、究極的には憲章の改正までも念頭におきつつ、理論整合的に検討してきた。 酒井は、1989年以後の20件近くにのぼる平和維持活動の検討から、「伝統的」平和維持活動と比較して、(1)同意の不在、(2)国連の指揮の欠如、(3)権限の拡大などが見られ、平和維持活動の新たな原則の究明を試みている。とくに、内戦状況への派遣や第7章の適用による制裁との混在のような、従来型が回避しようとしてきたケースへの活用が目立ち、また、人道的救援活動と民政協力は最近の活動の中心となっており、そうした中での活動原則の設定は極めて難しくなった。また、PKO部隊の自衛原則は、活動の目的に照してかなり柔軟になっており、「自衛」の範囲に疑問を抱かせる状況がある。 以上を含めて2年間の研究の成果は、各々が適宜学術雑誌等に発表すべく準備している。
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