1、情報のデジタル化に伴い、従来、メディアの発達に対応し権利の拡充が図られてきた著作権法制の変革が迫られている。すべての情報がデジタル化されることにより同一の手法で蓄積、伝達、加工することが可能となり、従来の著作物の種類にこだわらない保護の在り方が求められている。本研究ではデジタル化された情報自体の著作権保護の在り方について研究を進めた。 2、デジタル化情報には、大量情報をそのまま容易に瞬時に複製することが可能、複製した情報の加工が容易、という特性がある。このようなデジタル情報の特性は、光ファイバー網によるネットワーク化等により大量の情報伝達が可能になったことと相俟って、一方で情報流通・利用の可能性を著しく広げるとともに、他方で、情報に関する権利者の権利行使を困難にするという問題をもっている。本研究では、デジタル情報の特性に対応し、従来自由利用とされてきた私的利用についても権利者の権利が働くことを確保するとともに、その具体の行使については、一括許諾、集中的権利処理等、報酬請求権的な権利行使の場の確保が現実的な対応との考え方を設定し、その検証を行った。具体的には、従来の著作権保護における議論、諸外国における議論の動向、特にECにおける最近の著作権保護を巡る動向を踏まえて研究を行った。デジタル情報の法的保護の在り方としては、前記の方向に沿って国際的にもデジタル情報の保護が進みつつあると考えられる。 3、今後は、本研究の成果を踏まえ、更にデジタル情報の利用とともに、ソフト開発へのインセンチィブをいかにして確保するかの観点からの研究を進めることを予定している。
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