平成6年度は、引き続き、アメリカでの裁判所が設置する離婚調停プログラム、自治体や行政当局が設けている公的離婚調停センター、民間の離婚調停サービスの実情と問題点や課題を検討した。とくに、裁判所附置の調停プログラムでは、ビデオ・テープやグループ・オリエンテーション、裁判所の決定にしたがわない当事者や紛争性の高い当事者のためのグループ・ミーティングなど、調停を利用する当事者の教育プログラムに力が注がれていた。調停が当事者達による自主的紛争解決手続であるとすれば、調停者の調停運営基準や方法も重要だが、調停の利用主体である当事者の自己決定的能力を最大限に引き出すための教育啓蒙活動も大切である。わが国の家庭裁判所では残念ながら、ようやくパンフレット、ビデオなどが利用されはじめた程度である。沖縄と東京の家庭裁判所での調停サービスにおける地域格差等も検討した。
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