研究概要 |
本年度は、わが国の家庭裁判所における具体的な離婚調停の運営の実情や問題点を明らかにすることにつとめた。とくに、東京家庭裁判所での家事調停実務の問題点につき、調停員、調査官、裁判官からのヒアリングを行い、調査官の立会と調査報告書、期日間調整の在り方、調停員と調査官の相互の役割分担、調停委員と裁判官の評議、同席調停の適否など重要課題が明らかになった。また、安田生命社会事業団のヒューマンサービスセンター、家庭裁判所OB, OGで組織される社団法人「家庭問題情報センター」など民間の相談機関の構成とサービス内容、カウンセラ-の専門資格、活動状況、裁判所その他の機関との連携等、わが国の民間相談機関の役割や動向について実情を検討した。ヒューマンサービスセンターは、一回2時間の相談体制で(無料)、年間800件の相談を扱い、家庭問題情報センターの東京ファミリーカウンセリングルームは、平成6年4月からの1年間で682件の相談(有料)のほか「離婚セミナー」講演等を24回実施し、相当の成果をあげていた。とくに、家庭問題情報センターは、元家庭裁判所調査官が中心であるだけに、裁判所との連携もとれて、一般市民の家庭をめぐるトラブルに応えていたのは注目される。
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