本研究は、日米の家事調停制度の比較研究という視点から、まずはじめに、アメリカ合衆国の裁判所附置の離婚調停・監護調停の制度運営の実情や課題をかなり詳しく調査研究した。裁判所附置の調停プログラムが独自に行っている実態調査、とくにカリフォーニア州での家庭裁判所サービス局の全州的調査、調停運営の実務基準、調停と裁判手続との相互関係、調停の費用、調停者の資格や養成、調停の申立資格、参加者、調停対象事項、秘密保持の原則等の諸点からアメリカの裁判所での調停サービスの実態・工夫・課題をかなり明らかにすることができた。また、わが国の家庭裁判所での調停に関するヒヤリング調査、民間相談機関についての調査研究により、わが国家事調停制度の実情と問題点が明らかになり、今後の検討課題としても、家庭裁判所での調停における同席調停の原則化、調停運営のマニュアルの作成、自己点検・自己評価制度の導入、調停委員の定期的研修、選任方法、裁判官、調査官、調停委員の役割分担の在り方、家庭問題情報センターなど民間相談機関と裁判所の連携の在り方、調停運営上の各種モデルと調停前置主義、当事者のプライバシー保護など山積していることを明確化できた。そこで、これらの諸点について継続して検討を重ね、さらなる改革の提言をしてゆきたい。
|