1.関西所在の裁判所で、大小多様な外国人事件、聴覚障害者の事件を傍聴するとともに、事件の関係者、とくに弁護人、通訳者などと意見交換をする場を何度か設けて、こうした事件に関わる者の目からみた刑事裁判の実情について取材した。現に傍聴した事件のいくつかについては、その後に、一件記録をすべて入手し、捜査段階から公判段階に至る手続の実情を把握するとともに、そこに含まれている問題点の整理・分析をすすめた。 2.こうした成果を元にしながら、「外国人と刑事手続」および「聴覚障害者と刑事手続」の研究会を組織し、学者、通訳者、弁護士を主たる参加者として、それぞれの問題に関する意見交換、実情把握に務めた。 「聴覚障害者と刑事手続」研究会については、本年度は、広島、名古屋で研究会を開催し、それぞれの地域で実際の事件に関わった弁護士と通訳者から報告を受けて、検討する時間をもった。 「外国人と刑事手続」研究会も、すでに3回研究会を重ね、その報告内容をとりまとめている最中である。 3.少年事件についても、関西少年問題研究会に参加し、各地で少年事件を担当している弁護士から、ケース報告などを受けて、少年事件の現状を把握しつつある。 以上、本年度は、刑事手続の実情を取材する点に力を入れて研究を続けた。それを踏まえた理論研究については、次年度にすすめていく予定である。
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