1993年度計画の重点を価格改革をめぐる実証的研究におき、関係資料をできるだけ広範に集め、それを整理・分析することにおいた。夏期に別途資金で訪中の機械があったこと、中国社会科学院の王偉、季崇威、陸南泉の三氏を大学に招き、意見交換の場をもつことができたこともあって、予想以上に順調に関係資料を収集・分析することができた。また予想どうり、1993年度は、価格改革をめぐって、かなり大きな進展があった。食糧配給制の撤廃、ガット加入をにらんだ関税の引下げ、そして94年1月からの単一為替レートの導入がその主たるものであった。 1993年度の主たる成果は、次の点にある。 (1)高どまりしている価格補助金、企業欠損補給金の実態を、その構造をふくめて歴史的にほゞ明らかにしえた。とくに事実上は、三分の二が赤字企業である国営大中型企業の改革がどう進むかが、価格改革の鍵をにぎっている。この問題を解決しえないかぎり、価格改革の順調な発展は期待しがたい。この点の方針は、今も明確ではない。 (2)価格改革はここ3〜4年急ピッチで進んでいるが、ガット加入し復帰問題を控えて、そのいっそうの推進の計画が明らかにされた('93年11月、14期3中全会決定)。しかし、その推進を阻んでいる大きな要因は、経済過熱によるインフレの爆発の危険である。 (3)3月現在、価格改革そのものについて論文発表にいたっていないが、口頭報告1回と、関連小論4点を執筆した。
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