平成6年度計画は、価格改革をめぐる実証的研究のまとめに入るとともに、理論的研究を深めることにおいた。研究活動は11月まではほゞ順調に進行したが、その後病気入院があり、スローダウンした。とくに当初計画に比し執筆活動が大幅に遅れる事になった。 平成6年度の主たる研究実績は、次のとおりである。 1)1979年〜1994年の価格改革の進展状況についてまとめを行い、94年7月に経済理論学会西南部会で報告した。また価格改革の進展を阻んでいる当面の経済過熱・インフレの原因についての小記事を発表した。 2)1979年以来の価格改革の進展は、4期に分けられること、91年から第4期の特徴は、自由価格化、世界市場価格とのリンク、狭義の価格改革から広義のそれへの重点移動にあること等を明らかにした。 3)価格改革の目標モデルが、各期において歴史的に変化してきたことを跡づけるとともに、93年以降、市場自由価格化に収斂してきたことを明らかにしえた。 4)91年以後、自由価格化が急激に進行した。この自由価格化の西側先進国並みへの進行をもって、中国の市場経済化が劇的に進んだようにみる見解が一部に現れているが、そうではないことについて検討を深めることができた。中国の条件においては、自由価格化は、価格変化を通じる資源配分メカニズム=市場メカニズムの確立と同義ではないことを種々の面から明確にしえた(この点が平成6年度に得た最大の理論的成果である)。
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