本研究は、1979-1994年の中国価格改革に焦点をあてたもので、その主要な研究成果は、次のとおりである。 1)中国の価格改革は、過去16年間において漸進的、段階的に深化してきた。 第1段階(1979-1984年)は、行政的に決定された不合理な価格体系の調整によって特徴づけられる。第2段階(1984-1988)では、調整をともないつつも価格自由化に力点が移動した。第3段階(1989-1991)ではインフレ抑制のため、価格自由化の一時的停止と行政的管理の強化がみられた。第4段階(1992〜 )は価格自由化の再開と財貨のみならず、各種生産要素の市場形成が開始されたことを特徴とする。 2)財貨の価格自由化の進展は、それだけでは資源配分の市場化、価格メカニズムの確立を意味するわけではない。そのためには、労働力、資金、住宅、土地、技術等の各種生産要素市場の育成を必要とする。 3)1992年以降、各種生産要素市場育成の動きが始まったが、その育成のためには、今後多くの障害がのりこえられなければならない。その完遂のためには多くの改革措置が必要であり、なお多くの年月が必要とされよう。
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