研究概要 |
平成6年度の研究は,大きく分けて2つである。一つは,産業立地に関する理論的な分析であり,平成5年度に開始した研究の継続である。もう一つは,国際間・地域間分業に関する企業立地に関する研究である。 前者に関しては,"Pricing Policy and Free Entry in Spatial Competition"という題目で京都大学経済学部ワーキングペーパーにまとめた(No.25).そこでは,近年なぜ通信販売が増加しつつあるか,レストランやガソリンスタンドなどのチェーン点の数は過大ではないのかといった問題に焦点を当て,商業施設の立地モデルを展開した。特に,価格戦略の自由度を広げた場合に生じうる問題を理論的に解明することを主目的とした。また,コストパラメータ群が産業構造や地域構造に与える影響を,ゲーム論的な手法を用いて分析した。 後者は,"Regional Growth in Postwar Japan"という題目でRegional Science and Urban Economics誌に投稿し,近々刊行される予定である。これは,戦後わが国の経済発展過程を地域データを駆使して追跡した実証研究であり,University of PennsylvaniaのMasahisa Fujita氏と共同で行ったものである。国際間分業や地域間分業が増加しつつあるのはなぜか,そしてそれは地域経済にどのような影響を与えるのか,東京一極集中は今後も継続するのかといった問題を中心に分析を進めた。
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