1975年と85年の多国間国際産業連関表をインドネシア-日本-その他世界の表に組み替えて、インドネシアに対する成長要因分析を行った。今のところ実質値ではなく名目値を用いた分析であるが、多国間表を用いることにより日本との相互依存関係に基づいてもたらされる成長部分も整合的なフレームワークのなかで分析できるようになった。 日本がなんらかの理由により成長すれば、インドネシア・日本間の交易マトリックスによる乗数効果を通じてインドネシアに成長をもたらす。また、このような間接的な効果による成長に加えて、日本がインドネシアからの消費財輸入を増やしてもインドネシア経済を直接的に刺激し、インドネシアに成長をもたらす。これは、交易マトリックスを経由しない直接的な効果による成長部分である。一方、インドネシアが電気部品などの中間財の輸入を自国の生産に代替することによっても成長が促進される。これは輸入代替による成長であるが、インドネシア内の投入係数と日本・インドネシア間の交易係数の相対的な変化によって捉えることができる。このように日本との相互依存関係を通じてさまざまな形でインドネシアに成長がもたらされるが、国際産業連関表を使うことによりこれらの成長要因を全体として整合的なフレームワークのなかで分析することができる。 インドネシアでは1975年から85年までの10年間で年率11.2%の成長(名目の総生産額)を全体として記録したが、総成長額の7.5%は日本が成長することによる間接的な効果による成長であった。その他の国を加えると合計で14.3%が間接的な効果によりもたらされており、したがって自国への直接的な効果による成長は総成長額の85.7%であった。石油・ガス部門は特に間接的な効果による成長に依存しており、日本を含めて合計で約80%がこの効果による成長であった。
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