(1)平成5年度において系列関係が一県一行主義の推進に障害となる地域(北陸地方、四国地方、福岡県等)を中心に日本銀行、個別地方銀行、都市銀行の史料収集を行い、若干の不足はあるが一応の分析が可能となる史料状況となった。東京大学経済学部図書館に所蔵されている営業報告書などの収集が次年度の課題である。 (2)以上の史料の分析は充分進捗したわけではないが現在のところ以下の諸点が明らかになった。 【.encircled1.】一県一行の推進が、系列地方銀行を媒介に都市銀行の合同方針と関連しており、各地域の一県一行の進展が相互に有機的連関をもっていること。 【.encircled2.】一県一行の推進は、単に銀行合併にとどまらず、他府県銀行の店舗整理を媒介に広域的な問題として具体化していること 【.encircled3.】地域的合同の中心となる地方有力銀行は、広域的な合併や隣県有力銀行の対抗等を想定して、当該県内だけでなく隣接地域の合同進展に強い関心をもち、可能な場合には介入も辞さなかったこと。 【.encircled4.】以上の点から、大蔵省、日本銀行の合同政策は、単純なものではなく、地方銀行、都市銀行のビヘイビアに影響を受けた協調的、妥協的、バランス維持的性格であったこと。 (3)次年度は以上の成果をもとに、研究論文のまとめにとりかかりたい。
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