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本年度は、本研究の最終年度にあたる。したがって、若干の補充調査とともに、平成5〜6年度に調査・収集した資料を分析し、研究報告書を作成することが本年度の主要な課題であった。
これまでに、京都、横浜、川越などの地方ブルジョアジーの鉄道問題への対処の仕方、また産業資本の利害を代弁したと一般に評価されている田口卯吉の『東京経済雑誌』の鉄道問題に対する対応、あるいは鉄道技術者として知られる佐分利一嗣や鉄道経営者でもある南清の鉄道政策論などについては、学術雑誌や単行本に論文として発表してきた。これらの諸論文をベースに研究成果報告書を作成した。報告書の章別構成は、第1章・『東海経済新報』の鉄道論、第2章・『東京経済雑誌』の鉄道論、第3章・南清の鉄道建設構想、第4章・佐分利一嗣の鉄道政策論、第5章・『横浜鉄道の計画と横浜経済界、第6章・京都鉄道会社の設立と京都財界、第7章・川越商業会議所の鉄道問題、である。
報告書によっても果たされなかった問題は、大阪、神戸、名古屋などのブルジョアジーの鉄道問題への対応、『東洋経済新報』の鉄道問題への対応、さらにはこれまで政商・財閥の代弁者として扱われていた渋沢栄一の鉄道構造、などである。これらの問題については、すでに本研究の過程で資料もある程度収集しているので、できるだけ早く論文にまとめ、この研究成果報告書の諸論文と合わせて『近代日本の鉄道構想』といった書名の著書の刊行をめざしたい。
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