本年度は主にデータの収集とそれによるデータベースの作成に費やした。 過去20年間に東証に新規に公開された企業のリストをつくり、個々の企業についての財務データと株式データを集めた。株式データは、公開後5ヶ年間の毎月の投資収益率について株価より計算、あるいは比較的容易に入手しうるものは既存の日証研の投資収益率データを採用した。 公開株式の公開後の価格パフォーマンスがすぐれているか否かを決定するポイントは、比較する基準値として何を選択するかにある。今年度、東証が企業紹介で比較対象にしている類似企業の投資収益率を基準値として、公開価格のパフォーマンスを実証分析してみた。その結果は、新規公開株式が高い超過収益率をあげ続けているという結論を得ることができなかった。新規公開株のパフォーマンスは公開後少しづつ低下していることが観察できた。 今後、もっと問題を掘り下げるため、時価基準での比較検討も予定してデータをそろえている。さらに、いくつかの角度からデータを分析して明確な結論が出せるようにしたい。
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