計画通り、『全国公債社債明細表』、『社債一覧』を基礎資料とし、それに社史、地方史、業界団体資料等の資料、および現地調査等によって、戦前期のわが国の社債市場におけるデフォルトの事例を検出し、データベースの作成を完了した。また、当初の計画にはなかったものであるが、デフォルト社債・企業との比較のため、戦前期発行の全社債のデータベースおよび『大阪屋商店株式年鑑』掲載企業の財務データベースの作成も行い、ほぼ完了した。 戦前期の社債デフォルトのデータはこれまで十分に整理されていなかったため、本デフォルト社債データベースの利用価値は、非常に大きいと考える。 データベースを利用した分析でこれまで確認した点は次の通りである。 (1)デフォルト社債の社債本数は165本。『社債一覧』に記載されていないもので今回新たに検出されたものは49本。 デフォルト社債発行企業数は102社。『社債一覧』に記載されていないもので今回新たに検出された企業は33社。また、『社債一覧』の記述に追加すべき情報も多数得られた。 (2)デフォルト社債のうち、担保附社債は39本。 (3)デフォルト社債発行企業のうち、役40%は払込資本金100万円以下の比較的小規模の企業であった。十分な情報が得られない企業のほとんどはこのグループに含まれていた。
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