研究概要 |
企業合併、買収の効果と特質についての日米比較の研究では、我が国の中小金融機関での異種合併の効果の分析として、相互銀行と信号組合の異種合併の効果を分析した。1969年より1977年までの異種合併は20件あり、1960年より1983年までの財務データを利用して、合併前後の経営指標の比較、各合併相互銀行に対応して預金規模の一番近い非合併相互銀行を選択し相対的比較を行なった。2グループ間の経営指標の有意義の推定により、1店舗あたり預金高では合併後の方が高く正の効果があり、総資金運用利鞘、預貸率、経常収支率、従業員1人あたり預金量で合併後の方が優位となっている。合併相銀と非合併相銀の経営指標の差、相対的経営指標で比較すると、総資金運用利回、総資金運用利鞘、1店舗あたり預金量で合併に正の効果がみられる。判別分析も行なったが、63,64y.以上の制度で平均値の差の検討の結果を支持している。 また、米国信用組合の同種合併についても分析を行なった。全米信用組合管理機構の提供している1982年から1990年までの財務データを使って、1986年に合併した336の米国信用組合と対応する非合併信用組合を同一州内での資産規模の近い組合より選び同種に分析している。合併前後の比較により、非収益資産比率、総資産純利益率、営業費用対総費用で負の効果があり、相対的経営指標によっては、純不良貸付金比率、営業費用対総費用等の指標で負の効果があることがわかった。 これまでの研究代表者により研究では、我が国での信用金庫間の合併、信用組合間の合併、農協間の合併、あるいは米国信用組合の合併のような同種合併では合併に負の効果があり、相互銀行と信用組合、信用金庫を信用組合の合併のような異種合併では合併に正の効果があるということになる。合併戦略を考慮するのに有意義な結果である。今後、研究を拡張して、米国での異種合併、銀行合併等の研究が必要である。
|