本研究は、1990年代に突入し、これまで日本経済を主導してきた電子メーカーが国内的、国際的に大きく活動形態を変容させている実態を解明しようとしたものである。そのために、コンピュータの設置、実態調査、ヒヤリング調査の実施と統計、文献収集を軸とした研究を推進してきた。特に、平成5年度に2件、平成6年度には3件の実態調査を実施してきた。 研究成果の一部は、1994年に森山書店から発行した『日本半導体産業論』に発表している。本著は、第1章日本半導体産業の変遷、第2章アメリカ半導体産業の復活、第3章半導体開発の諸特徴、第4章半導体生産の変革、第5章半導体生産と地域の活性化、第6章企業内国際分業体制の進展等から構成される。本著の中では、まず、メモリーの大量生産に特化してきた日本半導体メーカーの展開を検討している。それに対し、論理回路に重点を置き、リストラクチャリングを追求し、産業政策をも展開してのアメリカメーカーの再生を対比している。また、サブミクロン以下の微細加工に突入しているIC生産をとりあげ、先端分野での開発競争の特殊性をも明確にしてきた。なおも、半導体メーカーの地域進出、海外進出を検討し、地域活性化の方途や高度な国際分業と進出先での現地化に関連する諸問題を明確にしている。本研究を行うことにより、日本半導体メーカーの推移とそれが現在直面している諸課題と一部諸課題の解決の方途を確認している。ソフトウェア分野の強化とか独創的な研究開発の実行についての検討は、今後に残してある。
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