企業の新しい設備調達手段としてのリース取引は、近年、その重要性を著しく増大させてきており、産業界に定着してきているにもかかわらず、その会計処理および開示基準については、いまだ十分な研究が行われないまま放置されてきた。 本年度は、わが国の企業会計制度上、オフ・バランス情報として処理されてきたリース取引に関する会計情報を、積極的にオン・バランス化するための理論と手法について研究し、そのうえで、リース取引に係る公正妥当な会計基準を構想し、これをわが国の会計制度の改善のための試案として提言した。 そのための調査研究の具体的内容は次のとおりであり、いずれもレッシー(ユーザー)側とレッサー(リース業者)側の両面から行った。 (1)諸外国におけるリース会計の現状について、その実態を調査した。 (2)わが国のリース会計の実務の実態について調査した。 (3)オペレーティング・リースとファイナンス・リースの相違点について調査した。 (4)オペレーティング・リースとファイナンス・リースに関する定義を確定した。 (5)わが国の企業会計制度の枠組みの中に、リース会計基準をどのように位置づけるべきかについて研究した。 以上の研究成果は、わが国の会計基準の設定主体である企業会計審議会の意見書の中に大幅に取り入れられた。
|