(1)ファイナンス・リ-ス取引のオン・バランス化のための判定基準として、諸外国の会計基準において採用されてきている(1)所有権移転基準、(2)割安購入選択権基準、(3)耐用年数基準および(4)公正評価額/現在価値基準を取り上げ、それら各基準の妥当性について詳細に吟味し、それら諸基準の会計実践への適用方法を明らかにした。この際、「経済的実質優先思考」をわが国企業会計制度に導入すべきことを提言し、そのことが現行制度の改善整備にとって有効であることを論証した。 (2)ファイナンス・リ-ス取引に係るリ-ス資産およびリ-ス負債の貸借対照表価額の決定にあたり、支払リ-ス料総額から利子の要素を除去するための手法(「現在価値計算」の手法)を開発し、この手法が、現行の企業会計のフレームワークとの整合性をそこなうことなく、企業会計制度に導入可能であることを論証した。 (3)現行の企業会計制度上、オフ・バランス情報とされているオペレーティング・リ-ス取引に係る未経過リ-ス料を、基本財務諸表に対する補足情報として開示すべきことを提言し、その具体的開示方法を明らかにした。 (4)企業会計制度を整備充実するため、リ-ス取引に係る重要な会計情報を、基本財務諸表の本体において開示すべき情報と補足情報として開示すべき情報とに明確に区別したうえで、そのいずれをも開示すべきことを要求する「二元的情報開示制度」を提言し、その構想の有効性と実行可能性を論証した。 以上の研究成果は、大蔵省・企業会計審議会の「リ-ス取引に係る会計基準に関する意見書」に反映され、証券取引法適用会社において平成7年3月期決算から実践されることとなった。
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