研究概要 |
平成6年度においては、金融取引における実質優先主義をキ-・コンセプトとしてその理論的展開を図ることを主たる課題としてきた。「複合金融商品の会計」では、負債と資本の2つの特性をもった金融商品について会計上どのように認識し、処理するかの問題に対して、最も古典的な複合金融商品の典型例をなす転換社債に焦点を置き、転換社債の会計方法として3つの代替的方法の特徴と問題点を明示するとともに、いずれの方法を選択するかは取引形態のいずれの側面に焦点を置くかに基礎づけられるべきであり、取引の実態に即した処理方法に焦点づけられるべきことを明らかにした。 また,金融資産証券化の会計では、金融資産の証券化取引において、資産の譲渡人と譲受人との間に分割された便益とリスクとを会計上どのように取り扱うべきか、証券化による便益・リスクをいかにして的確に把握し、その経済的実質を会計上で適切に反映するかについて考察を行った。結論的には、証券化のような複雑な取引については、従来のように「オフバランス(売却処理)」か「オンバランス(金融処理)」か二者択一的に把握することには無理があるとの認識を示すことにした。 この他にも、新金融取引をめぐる会計問題について解明すべき課題と論点とを整理し、最終年度(平成7年度)の研究課題を提示した。
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