研究課題
最近の研究のテーマとしては、昭和63年頃より始めた『代数曲面上の有理点の分布の研究』があり、平成5年度には次のような結果を得た:(1).代数多様体、とくに曲面の場合に、小平次元とBatyrev-Maninの幾何的不変量の関係を調べ次の結果を得た: Sを非特異な代数曲面とし、Lをその上のample line bundleとする。このとき幾何学的不変量α(L)の符号とSの小平次元κ(S)は次の関係をみたす:(a)α(L)>0 〓 κ(S)=-∞;(b)α(L)=0 〓 κ(S)=0 or 1;(c)α(L)<0 〓 κ(S)=2.(2).代数多様体の不分岐な被覆で、小平次元が負であるかガロア拡大であれば、上にある多様体に関するBatyrev-Maninの予想が証明できれば、下にある多様体に関するBatyrev-Maninの予想が証明できる事を示した。(3).代数体上定義され、その体上少なくとも1つ有理点を持つ線織面の構造を研究した:種数が2以上の線織面については、Mordell-Faltingsの定理から、有限個の代数曲線上の有理点の分布を調べる事に帰着される。したがって、線織面の底は、種数が0また1であるとした。このような線織面の自己同型群は、丸山正樹により決定されている。そこで、自己同型群を価に持つガロアコホモロジーを詳しく調べた。我々の場合には、線織面が有理点を持つ事から、かなり場合がしぼれ、基礎体上の代数曲面としての構造がわかる。
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