研究課題
石田はトーリック多様体の交叉ホモロジー群が、対応する扇に含まれる錐体の生成する線形空間を集まりを使って得られた外積代数上の次数付き加群の複体によって表現されることを示した。これは有限集合である扇を空間と考えて、その上で層の理論を展開しているともいえる。重要な結果として対角線定理I,IIが得られた。対角線定理Iは非特異コンパクト・トーリック多様体のホッヂ数が対角線部分しか出ないことを、特異点を持つ場合に拡張した結果である。スタンレーは単体的凸多面体の面に関する上限予想を代数幾何学の重要な定理である強レフシェッツ定理をトーリック多様体に適用することにより証明した。対角線定理IIはこの証明における強レフシェッツ定理を不要にしている。板東はチアンが証明したアインシュタイン・ケーラー計量を許容する複素射影空間の複素部分多様体の安定性を一般論の観点から眺め直し、等質空間の場合にも拡張出来ることを確認した。西川は双曲型空間内の調和写像の存在問題と調和葉層構造のスペクトル幾何に関して研究し成果を得た。長谷川はヤン・バクスター方程式の楕円テータ関数解に付随して定義される双代数と、その表現の構成について研究を行なった。他の分担者も、それぞれの方面から研究を行ない成果を得ている。
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