研究課題/領域番号 |
05640119
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
桑原 類史 徳島大学, 総合科学部, 教授 (90127077)
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研究分担者 |
片山 真一 徳島大学, 総合科学部, 助教授 (70194777)
大宮 真弓 徳島大学, 総合科学部, 教授 (50035698)
伊東 由文 徳島大学, 総合科学部, 教授 (30035688)
一條 義博 徳島大学, 総合科学部, 教授 (20035679)
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キーワード | ラプラシアン / ハミルトン力学系 / 完全積分可能系 / ダルブー変換 / フィンスラー幾何学 / 佐藤超関数 / 体の巡回拡大 |
研究概要 |
数理物理学の諸問題を、シンプレクティック構造に注目しつつ、種々の方面、手法により考察した。 1.リーマン多様体上の測地流は、余接バンドル上のハミルトン力学系であり、それに対応する量子力学系としてラプラス-ベルトラミ作用素を見ることができる。このとき、ラプラス-ベルトラミ作用素の固有値分布と測地流の力学系の性質の関係を研究した。特に、リーマン計量の等スペクトル変形と測地流の力学的構造をベキ零多様体の場合に考察し、等スペクトル変形の下で、ある種の力学構造が不変に保たれることを明らかにした。 2.フィンスラー幾何学は、変分学の幾何学という側面において力学、光学など数理物理学の一分野と結びついている。フィンスラー計量を接バンドル上の幾何学として研究し、特に、物理学において興味深いランダース計量を一般化したある種の計量について、その共形的平担性をテンソルによって特徴づけた。 3.場の量子論研究の道具として有効な佐藤超関数の性質を正則関数の境界値との関係で考察した。正則関数の境界値を考える位相の取り方によって、境界値はふつうの関数であったり、シュワルツ超関数、Roumieu-Beurling超関数、佐藤超関数、フーリエ超関数などであることが分かった。 4.ソリトン理論で現れる完全積分可能系について、微分作用素の代数的構造(ダルブー変換)を研究した。有理ダルブー変換の概念を導入し、微分作用素が有理ダルブー変換可能となる条件をいくつか求めた。応用として、高次KdV方程式の特異性を有する厳密解のある種の構成方法を与えた。 5.ラプラシアンの固有値は、ゼータ関数等を通じて数論、ガロア理論と関係する。この方面の成果として、体の巡回拡大に於けるヒルベルトの定理の新しい方向からの(円分方程式と関連する)一般化を得た。
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