研究概要 |
(I)非線形常微分境界値問題(d^2u)/(dx^2)+λu=g(u),u(o)=u(π)=0(ただし,gはg(o)=g'(o)=0をみたすC^1級の関数)の解の分岐図式のうち,その線形化問題の2番目の固有値から分岐する分岐曲線からは一般には非線形項gは一意に決まらない。しかしながら分岐曲線が定数部分を持たないならば、非線形項gはただ1つに定まる(一意性定理)という結果を得た。またこの条件が非線形項が一意に定まるための必要条件でもあらうと予想するに十分な根拠を得た。 (II)Ωを3次元空間内の単位球とするとき,非線形境界値問題Δu+λu=g(u)in Ω,u=0 on 〓Ω(gの条件は(I)と同じ)の解の分岐図式のうち,その線形化問題の最小固有値λ_1から分岐する分岐曲線がλ〓λ_1に十分近いときは,この分岐曲線を実現する非線形項が存在するという結果(存在定理)を得た。また,この定理を証明する際にこの逆問題の本質を知見させるための方法としていくつかの興味深い手法を得た。
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