今年度増田が考察した問題は3つある。その1つは、非定常ナヴィエ・ストークス方程式の解の近似問題である。この問題は、理論上も応用上も重要であって、数値計算の基礎をなすものであって古くから研究されてきた。1954年、Chorinがこの問題の解決に対する1つのアイディアを提唱した。これに従って、Marsden、Ebinsらは解決に努力したが成功しなかった。増田は、Rautmann教授と共同でこの問題に取り組み、トロッターの積公式を用いてこの問題の解決に成功した。(Commentarii Math.ST.Paul Univ.に近刊).2つ目の問題は、ナヴィエ・ストークス方程式の解のt→0に対する両立条件に関する研究である。これは、1994年1月に京都大学数理解析研究所でおこなわれた“Non-linear Partial Differential Equations"の研究集会で報告した。3つ目は、ロットカ・ヴォルテラ型の反応拡散方程式の解の時刻に関する漸近挙動の研究である。この方程式は、数理生物学にあらわれる基本的方程式である。そして、安定な周期解の存在を示すことができた。従来、系が2つの場合のみしか研究されていなかった。 垣江は、involutiveな1階偏微分方程式系について研究を行った。
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