研究課題/領域番号 |
05640250
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 陽一郎 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (20033889)
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研究分担者 |
服部 久美子 東京大学, 教養学部, 助手 (80231520)
中村 周 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (50183520)
谷島 賢二 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (80011758)
菊地 文雄 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (40013734)
金子 晃 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (30011654)
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キーワード | 大偏差原理 / 散乱距離 / ランダム行列 / 平衡過程 / フォック空間表現 / 流体力学的極限 / ディリクレ形式 / 絶対連続性 |
研究概要 |
無限対称マルコフ粒子の平衡過程に対する大偏差原理に関しては、レベル1の場合が完全に解決された。その大偏差汎関数が散乱距離であることの証明においては、ポアソン場に付随するフォック空間表現を構成してみたところ、この代数的な表現が驚くほど自然に機能することが判明し、基礎のマルコフ過程に対する仮定は、対称性と、状態空間がポーランド空間であることのみで良いことになった。具体的には、先ず、フォック空間は、ポアソン場の相互絶対連続性の結果(高橋1990)での密度関数に表示を与えることができ、さらにディリクレ形式の表示も与え、計算過程に現れる変分問題も、フォック空間表現を用いると、簡明に計算されることがわかった。(ASPM第23巻に掲載予定) 今年度新たに、第3期の研究段階に入っているといわれるランダム行列の研究にも着手し始めた。まだ、予備的な段階で口頭発表(平成5年6月統計数理研究所)のみではあるが、ガウス直交アンサンブル、ガウス・ユニタリ・アンサンブル等を、拡散過程の定常分布として捉えるという60年代のF.Dysonのアイデアは、現在の確率解析の知見を用いれば、完全に正しく、かつ、彼が流体学的極限として発見的に予想していたことも、現在(偶然にも)確率解析において研究されている流体力学的極限の枠の中に入り、より広いクラスに対してスケール極限が計算でき、彼の期待した、その極限がポテンシャルの微細構造によらないという普遍則も証明された。
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