研究課題
最適化理論は数学理論のいろいろな手法を取り入れ、応用数学の多くの分野に重要な役割を果たして来ている。現在は、実社会の各種の管理計画や作業計画に最適化の手法は既に使われて来ている。今回の研究では、最適化理論の基礎を数学的に再構成する事が目的であり、特にベクトル値関数に関係する最適性の条件に新しい概念を導入し、幾何学的な側面の考察で新しい知見を加える事が出来た。更に、確率的な現象への最適化理論の適用には、確率的な現象は無作為的な観察結果で数学理論の適用が困難に思いたが、統計理論の逐次解析の手法を取り入れて、観測を逐次に蓄積して得られる情報を、増加させながらこれを有効に使い解析する、新しい手法を前進させる事が出来た。また、動的計画理論との関連を考察し、時間的に変化する現象の最適化計画では、現象が非常に複雑な状況で数学理論の適用が困難であり、正確な数学的な最適解を求める事については良い結果が出ていなかった。しかし、摂動と言う概念を導入し、近似解の存在条件を示し、この近似解が充分に有意義な解になりうる事が示されたので、成果を数学と経済学に関する国際会議に報告した。この論文はLecture Notesに掲載される。これからの高度情報化社会の発展と共に、最適化理論の適用は社会の重要な関心事になって来ている。しかし、数学的な理論付けが遅れており、この理論付けがこれからの重要な課題になって来ており、あらゆる数学、特に関数解析学理論や関数方程式論、幾何学理論等の側面からの総合問題として位置づける事が必要になるし、また実社会における管理や作業計画問題等への高度の適用もより重要になるものと思われる。
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