密度の高いガスと銀河中心核から放出されたジェットのの衝突場現であるホットスポット周辺は、磁場とガスが集中し、大規模な星の形成を促すことが予想される。今年度は磁場とガスの存在を示す電波源のファラデー回転の分析を中心に研究を進め、以下の点が明らかになった。 1.800個を越える電波源について信頼度の高いファラデー回転量を求めるため、野辺山45m電波望遠鏡の観測結果も含め偏波データのカタログ化を行った。さらに銀河系磁場の影響の補正を精密に行った。 2.クエーサーのファラデー回転が吸収線に代表される途中の原始銀河の磁場によって起こるのではなく、CIVやMgll吸収を示すクエーサー自体のガス雲で起こることが明らかになった。また、ファラデー回転がクエーサーの電波構造や電波スペクトルと関連していることも明らかになったので、クエーサーの磁場構造との関連でさらに研究を深めていくことが重要となった。 3.銀河団及びその背後にある電波源のファラデー回転の分析から、銀河団の磁場がアーベル半径の半分近くまで広がっていることが明かとなった。今後は銀河団電波構造、特にジェットやホットスポット周辺の磁場構造やX線強度、中性水素、CO分子等との関連を追求し、そこでの星の形成を明らかにしていきたい。
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