銀河中心方向の銀経0゚、銀緯+10゚の位置にあるへびつかい座銀河団(赤方偏移8500km/s)の周辺15゚x20゚の領域について銀河の赤方偏移サーベイを米国立セロトロロ天文台1.5m鏡、リック天文台3m鏡で1993年5-7月にかけて行い、約150個の銀河のスペクトルを得てこれまでにそれらのデータの解析をほぼ終了し、以下のプレリミナリーな結果を得た。 1.cD型銀河団を中心とする半径10゚以内に少なくとも3個の銀河団があることを突き止めた。 2.それら銀河団の赤方偏移が±1000km/sの範囲でcD型銀河団の値と一致していることより、これらの銀河団は「へびつかい座超銀河団」を形成していることを突き止めた。 3.この超銀河団の北約40゚の所にあるヘラクレス座超銀河団との間の天域についても赤方偏移分布を調べたところ、cD型銀河団との類似の赤方偏移を示す銀河が多数あることが確認され、これら両超銀河団はいわゆるウオール構造で結ばれている可能性が極めて高いと予想される。 4.銀河の天球上での分布とIRAS100ミクロン・フラックスとの相関を調べたところ、80メガJy/strより強いところでは、銀河は1個も検出されず、完全にオペークであることが分かった。 5.サーベイ域内のいろんな位置にある楕円銀河についてそのスペクトルから求めたreddening量とその位置での100ミクロン・フラックスとの間に極めて良い相関があることを見いだし、後者がgalacticabsorptionを推定するに極めて有用であることを突き止めた。 ウオール構造を検証するために、アウングロ・オーストラリア天文台48インチ・シュミット望遠鏡光ファイバー多天体での赤方偏移観測が1994年6月に実施されることとなった。なお、本研究の成果の一部は1994年1月パリ・ムドーン天文台で催されたシンポジュームで報告した。
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