近年、数千個の銀河の集団である銀河団が再び数個集まって集団を作り、超銀河団(スーパー・クラスター)を形成している事が解っていたが、これら超銀河団が又いくつか連なってより巨大な構造を形成していることが1989年、CfAのグループによる赤方偏移サーベイからわかり、グレート・ウオールと名付けられている。一方、ブロードハーストらにより、100Mpc規模の銀河分布の奥行き方向の周期的な構造もあることが1990年指摘され始めた。 1981年、きわめて強いX線源として若松らによって発見されたへびつかい座銀河団の追跡観測を1993年にセロトロロ天文台等で行なったところ、この銀河団のすぐ北6°の所にもう一つの銀河団があることをつきとめた。これら2つの銀河団の周辺部およびヘラクレス座超銀河団との中間領域について、1994年アングローオストラリア天文台の世界最大のシュミット望遠鏡の光ファイバー多天体分光器で約400個の銀河のスペクトルを得て銀河分布、赤方偏移を観測し、コーン・ダイアグラムを調べたところ次の諸点が明らかになった。 1)へびつかい座銀河団を中心とする超銀河団が確かに存在していることとを発見した。 2)この座超銀河団はヘラクレス座超銀河団とつながって、へびつかい-ヘラクレス座ウオールを形成している兆候がパイロット観測から見えてきた。 3)このウオールとグレート・ウオールとは空間的に互いに100Mpcの規模で直交する構造であろう。 このウオール構造を確認するため、アングローオーストラリア天文台の協力により、本年6月再観測が計画されている。今後、これら大規模構造の成因と宇宙論的意味を解明していきたい。なを、本研究の一部は東京大学理学研究科長谷川隆君の学位論文となっている。また、共同観測者のQ.パーカー氏は本年3月来日し、今後の研究計画の打ち合せを行なうとともに、国立天文台でコロキュームを行い、宇宙の大規模構造の研究に一つの視点を提供した。
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