研究概要 |
まず,平成4年度から継続していた研究を完成させた.これは,ダイナモ作用で生成される大局的磁場は十分に弱く,したがって,乱流磁場の構造を求める上に,大局的磁場は無視できるとして,降着円盤における磁気乱流のモデルをつくることである.K-ε法を拡張し,さらに,適当なclosureモデルを導入することによって,降着円盤における定常磁気乱流モデルをつくった. 第2に,降着円盤でのガスは圧縮性ガスであり,さらに,円盤の厚さ方向に強い層状構造をもっている.これらのことを考慮に入れた降着円盤での乱流モデルをつくることをK-ε法を用いて行った.その結果,乱流エネルギーは赤道面から密度の低い表面に拡散現象で運ばれることが分かった.そのため,角運動量やエネルギー発生の効率を表すαの値は円盤の赤道面から垂直に円盤の表面に向かって増加すると考えるのが適当であることが分かった. 第3の成果は降着円盤の遷音点や境界層では円盤の構造が狭い領域で急激に変化するため,乱流を通常の渦粘性で記述する方法は,因果律に反する結果をもたらすことになり,適当でない.このような状況を解決するには,粘性をnon-localな量として記述しなければならないことを指摘した.さらに,乱流をBoltzmann方程式を使って記述することから出発して,具体的にそのような場合の乱流のstress tensorの表式を提案した.円盤の振動不安定性を調べる場合にもこのようなstress tensorの表式を使わなければならない.
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