本研究では、中心天体や降着円盤の周辺さらには降着円盤自身からの照射によって、降着円盤がどのような影響を受けるか、さまざまな状況に対して組織的に調べた。 当初の目的にしたがって、以下のような研究が行われた。 (1)降着円盤が等方的な輻射場に浸されており、かつ降着円盤のガスが光学的に薄ければ、輻射粘性の働きによってガスの角運動量を輻射場が持ち去り、その結果、降着が駆動される。このことは初年度の研究でわかってきたまったく新しいタイプの降着機構-β降着円盤-だが、今年度はこの新しいβ降着円盤の構造や時間発展そして振動などを詳しく調べた。 (2)原始惑星系円盤やX線星、活動銀河中心核などにおいて、中心から照射とガスのコンプトン相互作用による角運動量の輸送の結果、β降着円板の構造がどうなるか、また進化がどうなるかを明らかにした。 (3)中心天体や降着円盤内部領域からの照射加熱を受けた相対論的降着円盤の予想されるスペクトルを調べた。また線スペクトルについてもモデル解析した。 (4)X線新星の電子・陽電子対対消滅線の説明をするために、降着円盤から吹く風のモデルを構築し、線スペクトルのモデル計算を行った。
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