研究概要 |
パルサー風と星間物質、星間風との相互作用を数値シミュレーションによって調べるため、計算コードの開発を行なった。パルサー風と星間風とが衝突するとき、パルサー風の動圧と星間風の動圧とがつり合う位置に弓形の衝撃波ができることが予想されるが、開発したコードは、マッハ数のあまり大きくない場合、この弓形の衝撃波を安定に計算することができるものとなった。しかしマッハ数の大きい場合、数値不安定が生じ、計算を継続できなくなるという問題に直面している。たぶん採用している人工粘性に問題があるのではないかと考え、現在原因を究明しているところである。 ジェットと超新星残骸との相互作用に関しては、解析的な方法で研究をすすめてきた。そして、forward shockやreverse shockの伝播、残骸物質の運動に関して、解析解を求めることができた。この解析解をSS433/W50に応用したところ、電波源のふくらみ、X線源の位置や拡がりをうまく説明できることがわかった。観測と理論との比較から、星間物質の密度、ジェットの密度と速度がそれぞれ、〜0.01cm^<-3>,〜0.001cm^<-3>,〜2x10^9cms^<-1>と決まった。この星間物質の密度は平均的な値よりかなり低いが、超新星残骸W50のサイズが大きいという事実とうまくつじつまが合う。 次にreverse shockでの電子の加速および相対論的電子からの輻射を検討した。衝撃波による一次のフェルミ加速とシンクロトロン放射を組み合せ、さらにX線源はジェットの中でreverse shockが通過した領域であると考えると、計算結果はX線のスペクトルやその場所による違いをうまく説明できることがわかった。
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