平成5〜7年度において本研究は、ニュートリノが小さな質量を持つ時の素粒子物理や宇宙物理に与える効果について研究を行った。成果としては次のものが上げられる。 1.太陽ニュートリノ問題を解決するMSWのニュートリノ質量が大統一理論とコンシステントであり得ることを示した。 2.上記の解は約10^<12>GeVの質量を持つ右巻ニュートリノが存在することを示しているが、この重いニュートリノの崩壊により宇宙のバリオン数を生成できることを示した。 3.さらに上記のモデルを超対称性理論に拡張した場合重い右巻ニュートノはスカラーのパートナーを持つが、このスカラー場により自然にインフレーション宇宙が生成される超重力理論を発見した。 上記のニュートリノ物理とは別に、超対称性統一理論における大問題の2つを解決した。 1.ポロニ-問題がノースケール型の超重力理論で解決できることを示した。 2.軽いヒッグス2重項を自然に生む新しいタイプの素粒子の統一理論を作ることに成功した。 3.1.の問題と関連しているが、ダイナミカルに超対称性を破るモデルを発見した。またさらに、このモデルにはポロニ-問題が存在していないことを示した。
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