研究概要 |
準弾性散乱領域のスピン・アイソスピン・モードの励起について、核構造、核反応の両面から理論的解析を行った。LAMPF,Copenhagenの実験グループと協力し、実験の解析を行った。 I)構造面:アイソベクトル・縦および横スピン応答関数を直交条件付き連続RPA法で計算した。単純穀模型、核相関をTamm-Dancoff近似、Ring近似で取り入れた場合、Δ粒子励起を取り入れた場合を比較し、それぞれの影響を調べた。以下の天を新たに考慮した。a)相互作用を規定するLandau-Migdal parameterに対するg′_<NN>=g′_<NΔ>=g′_<ΔΔ>という「universality の仮定」を用いず解析した。b)核ポテンシャルの非局所性を有効質量の方法で取り入れた。c)粒子空港状態に対する分散幅の効果を取り入れた。d)pメソンの核内変化を調べた。e)和則を用いてRing近似以上の相関の影響を評価した。 II)反応面:^<12>C,^<40>Ca(p,n),(e,e′)反応を歪曲波インパルス近似(DWIA)で解析した。従来より進んだのは以下の点である、a)universalityの仮定を用いない計算が可能。b)核子・核子散乱t行列の全ての項の干渉が取り入れられる。また、C(d,2p)をグラウバ-近似で解析した。 これら解析の結果、(e,e′)散乱より評価される横スピン応答函数は、交換電流やRPA以上の相関が入ればある程度理論的に再現されるが、(p,n)反応の解析で得られるものは、実験値が理論値より2倍も大きいという困難に直面した。縦スピン応答関数は(p,n)反応のみから抽出されるが、大きさはある程度再現された。
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