近年は任意次元に拡張されたChern-Simons作用の定式化の重力理論及びその他への応用と、2次元の量子重力理論のフラクタル構造及びそれらに関連した研究の2面建ての研究を行ってきました。この1、2年は2次元重力の計算から、任意次元に一般化されたゲージ理論の定式化の方にウエイトを移しています。この時期が原子核研究所から北大に場所を移した移行期ですので、成果が出だしたのは最近のことであり、出版される論文に未だ結実していないと言う問題があります。 量子力学のフラクタル構造の研究に対しては、2次元重力の遷移行列の計算が可能になった、と言う意味で新しい定式化が提案でき、その後その方向で石橋、川合の弦模型、有限サイズスケーリング、ストカステイックな量子化との関係等、色々な発展をしています。2次元量子重力の数値計算に関しては既に量子重力に於いてフラクタル構造が本質的であることを初期の論文で指摘していますが、この方向の共同研究をニールスボ-ア研究所及び東京工業大学のグループと始めたところです。この有限サイズスケーリングの考えを用いてフラクタル構造を数値的に調べる事を目標にしており、我々が既に解析したc=-2の模型のより大きな計算を計画しています。 任意次元に拡張したChern-Simonsの定式化は、新しいタイプのゲージ理論を提起していますが、この定式化に対して量子化の問題を簡単な模型に対して実行し、ruducibleな系に対しての非常に面白い例になっている事が解りました。またこの新しいタイプのゲージ理論は非可換ゲージ理論と対応がつき、更にフォームのみによって物質場がDirac-Kaeler ferimionとして記述出来ることが解りました。即ちこれによりWeinberg-Salam模型がSU (2|1)によるgraded Lie Algebraの上でスピーノルを導入しないで定式化出来ることを具体的に示しました。 その他に、4次元のEinstein重力が4次元のChern-Simons作用を用いて定式化できることも示して有り、またトポロジカルなParticle Field Theoryと一般化されたChern-Simonsの作用の同等性の一般論も展開して有ります。この部分もまだ論文の形になっていません。
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