1.コンパクトな宇宙 通常おこなわれている一様な宇宙のビアンキ分類は局所的な性質だけに着目して、非等方宇宙を分類している。私は学生の古池・谷本両君と協力して、それらのコンパクトな場合の大域的分類をおこなった。その方法としてはThurstonによる3次元幾何学をフルに使い、3次元双曲空間以外については、完全に分類できて、力学自由度を数え上げることができた。その中でも、変形の自由度とタイヒミュラーの自由度を明白に分けた点が特筆されると思う。 2.量子重力における特異点の解消 普通、古典相対論では、時空の特異点は、因果的測地線が完備でないとして記述され、そういう定義のもとに「特異点定理」が証明されている。さらに進んだ理解においては、一般化されたアフィンパラメタを導入し、それが有限である場合に、因果的曲線が時空の外に出ることをもって、その時空は特異であるという。 私は、これを量子力学にもっていった時に、期待値でおきかえることを提案した。 それによれば、古典的に有限のアフィンパラメタであっても、量子ゆらぎのために無限になることがおこり、特異点が量子的に解消する可能性がある。3次元重力で例を具体的に示した。
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