研究概要 |
・コンパクター様宇宙 宇宙の大域的な性質を理解するために、簡単化したコンパクトな一様宇宙モデルを研究し、その分類を行なうことと、ハミルトンカ学を打ち立てることに成功した。まず、一様モデルであるビアンキ宇宙を普遍被覆とし,サ-ストンによる三次元幾何学を少し拡張して、等長群の離散部分群で割った商空間として、コンパクトな一様空間を表現した。普遍被覆空間の自由度と離散部分群のもつ(タイヒミュラー)パラメタとしての自由度を区別して考えることにより、コンパクト一様宇宙の自由度をすべて数え上げた。さらに、アインシュタイン方程式を課して、その力学を研究した。ポイントとなったのは上記の等長群は時間発展を考えに入れると制限をうけることを理解したことである。それにより、タイヒミュラーパラメタの時間発展が明示的に得られ、ハミルトニアンも具体的に与えることができた。 ・量子ブラックホールと特異点 古典論において、特異点のプローブとして有効なシュミットによる「一般化されたアフィン長」を量子的に拡張したものを提案した。とくに、(2+1)次元時空におけるブラックホールのミニスーパーシペースモデルにおいて、特異点が量子重力効果により解消されることが示された。最近では、物理的な(3+1)次元ブラックホールにも応用できることがわかってその方向で研究が進んでいる。
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