平成5年度より平成7年度に行った研究の概要は以下の通りである: 1.シ-ソ-機構により質量を持たせた第4世代のニュートリノの効果を、e^++e^-→W^++W^-過程を用いて研究し、1)ウィークの3点形状因子2)微分断面積3)前方-後方非対称性等を評価した。偏極電子・陽電子ビームとWの偏極測定から得られる散乱振幅の「しきい値の振る舞い」により、マヨラナ粒子かディラック粒子からの相違を判定できる事を示した。次期加速器のエネルギー領域では、この重いニュートリノからの寄与は約0.5%である。2.重いニュートリノを用いた電弱理論におけるバリオン生成機構を研究した。一次相転移進行時に発生するバブルとニュートリノとの散乱より、レプトン数の生成率を評価した。更にバブルの発生、融合、成長する過程をシミュレートし、従来と比べて2〜3倍多いレプトン数を導いた。重いニュートリノが100GeVと50GeV、相転移温度が100Kの場合、CPの破れが10^<-(5〜7)>であれば、実際の宇宙のバリオン数を説明できることが分かった。3.ウィーンクボソン対発生過程を用いたCPの破れの研究に関して、(1)ベクトル型の重いダウンタイプ・クォークを持つ模型を用いてCPの破れを評価した。その大きさは10^<-9>で小さいが、(2)「超対称性模型」では、ソフトに超対称性を破る項に標準模型にないCPの破れが存在し、その為10^<1(4〜5)>程度の大きなCPの破れを発見した。4.500GeV程度のアップタイプのベクトル型クォークが存在する場合のバリオン生成過程として、バブルの壁から生成されるハイパー荷電を評価し且つ、この模型の電弱相転移を詳しく調べた。5.3世代のニュートリノ振動を用いて「大気ニュートリノ問題」を調べた。
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