平成5年度の研究は二つに大別されるので、以下にその各々につき報告する。 (1)入射核破砕片の運動量分布。フェルミ・エネルギー領域においても入射核破砕片の運動量分布のピークは入射速度に相当する値に極めて近いことが実験的に知られている。約30MeV/uの^<12>C+^<12>C系をAMDで分析した結果、残留相互作用として二核子衡突に加えて核子・クラスターの衝突項を導入するならば実験を再現できることを示した。 (2)クラフターのフロー。最近の実験はクラスター毎のフローを測定し、大きいクラスターほどフローも大きいことが示された。AMDで^<40>Ar+^<27>Al系と^<12>C+^<12>C系を計算しこの実験事実が再現されることを示した。計算はまたバランス・エネルギーの実験値も再現した。^<12>C+^<12>C系の分析で、核子のフローがクラスターのフローより小さいのは二核子衝突が平均場効果を消し去るからであることを確認した。
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