研究概要 |
1.入射核破砕片の運動量分布の研究:フェルミ・エネルギー領域でも入射核破砕片の運動量分布は関与者・傍観者型に従うかの如き様相を部分的に示すが、残留相互作用として、クラスターと核子の衝突過程を新たに取り入れれば、実験が再現できることを示した。 2.フラグメントと核子のflowの研究:^<12>C+^<12>Cと^<40>Ar+^<27>Alの系で、軟らかい核力のGogny力と硬い核力のSKG2力を用い、フラグメントと核子のflowを計算した。実験の再現は前者では良いが、後者では悪い。この結論は媒質内の二核子衝突断面積を変えても変わらない。大きいクラスターほどflowが大きいという実験結果も再現した。^<12>C+^<12>Cに比べて^<40>Ar+^<27>Alの方がクラスターの動的な形成にcoalescenceの機構が大きく寄与している。 3.中高エネルギー陽子非弾性散乱の研究:E_p=90MeV,200MeVのP+^<12>C系とE_p=120MeVのP+^<58>Ni系での非弾性散乱の研究を行った。色々な放出エネルギーの陽子に対する角分布が良く再現された。多段階過程の寄与、媒質中での二核子衝突断面積への依存性、などが分析された。 4.AMD理論にΔ粒子の自由度を取り入れること:核子当たり数百MeVの高エネルギー反応を扱う為に、Δ粒子の自由度を取り入れたAMD計算の拡張プログラムコードを作った。この拡張プログラムのテストの意味も含め、Δ粒子生成の反応過程がはっきりと現れる陽子入射の非弾性散乱過程を核子当たり800MeVで研究した。計算はΔ粒子生成の反応過程と準弾性散乱過程を同時に良く再現した。Δ粒子の自由度を取り入れたAMD計算の拡張プログラムコードを用いた重イオン反応の研究を今後は開始する予定である。
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