研究概要 |
われわれは、ブラックホール、中性子星、白色わい星などのコンパクト天体と、巨星ないしは主系列星などの伴星からなる近接連星系を考え、そこでの降着流の数値シミュレーション的研究を行った。降着流には伴星から星風が吹き出して、コンパクト星に降着する星風降着の場合と、降着円盤の場合が考えられ。われわれは両者の場合の数値シミュレーションを行った。 星風降着流に関しては、川崎重工の嶋、マックスプランク研究所のAnzer,Boerner、カ-ディフ大学のBoffinと共同研究を行った。その研究では、流れが厚み一定の空間に制限されていると仮定し、かつ流れが等温的の場合を考えた。その結果、流れは非常に不安定であり、降着コラムが蛇のようにのたくることを示した。これは、以前の我々の研究に対して、そのような不安定は数値的な現象であるという、スイスの研究者の批判に対して、そうではなく物理的な現象であることを示したことに研究の意義がある。 流れは、はじめは定常に近く、コンパクト天体の背後に長い降着コラムを形成する。しかし長時間計算していくと、コラムはやがて左右に振れ出す。その振幅は時間とともに、非常大きくなる。そして時には、コンパクト天体の周りに降着円盤が形成される。 われわれはそのほかに、降着円盤の3次元数値シミュレーション、太陽風と星間ガスの相互作用の数値シミュレーション、超新星爆発の数値シミュレーションなど、関連する研究も行った。
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