研究課題/領域番号 |
05640351
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
小平 治郎 広島大学, 理学部, 助教授 (40127080)
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研究分担者 |
大野木 哲也 広島大学, 理学部, 助手 (70211802)
牟田 泰三 広島大学, 理学部, 教授 (80025353)
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キーワード | 標準模型 / 場の理論 / 輻射補正 / 量子色力学 / 対称性の破れ |
研究概要 |
ゲージ対称性ならびにその破れの機構を解明する上で、ヒッグス粒子の性質、ゲージ場自身の結合の様子を調べることは、ゲージ対称性の破れに直接関わっているという点で重要である。 標準模型を越える模型として有力視されている超対称性をもつ模型では、ヒッグス粒子の質量は強い制限を受けている。但しその質量は輻射補正によって大きな変更を受ける可能性がある。この問題に対し理論的に不明瞭な点を明らかにするとともに、次主要対数近似で質量を計算した(発表論文1)。 新しい模型の可能性を考察するためには、標準模型の高次効果を詳細に調べておく必要がある。ところが高次効果の計算は極めて困難かつ複雑であり、むやみに計算しても有用な結果は得られない。物理的に意味のある計算をする処方箋が望まれるが、その時ゲージ不変性は重要な指導原理とある。ゲージ不変性を保ったグリーン関数の計算方法として、ピンチ・テクニックというものが提唱されているが、その結果は背景場量子化によるものと同一であることを一ループのレベルで示した(発表論文2)。任意の次数での同様な考察によって、ゲージ理論の構造がより明かとされるとともに、計算が簡単になるという技術的側面でも大きな発展が望まれる。この方法を、ゲージ場自身の結合構造を調べるために、電子・光子散乱によるWボソン生成過程に応用して輻射補正の効果を考察した。現在数値計算まで完了しており、物理的考察をしているところである。 標準模型を実験的に調べる上で、ハドロンの構造を明らかにする必要がある。特にスピンに関わる物理量は有用な情報を与えてくれる。そこで、ハドロンのスピン構造を調べた(発表論文3・4)。特に、ツイスト3の演算子の正しい取扱いを明らかにした。なお発表論文5は、ハドロンの構造に関する総合報告である。
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